不妊カウンセラー学会でのお話。
掲載日:2016.10.16
10月1〜2日、
「不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座」が
開催されました。NPO法人日本不妊カウンセリング学会主催です。
毎回楽しみにしているのが荒木先生の講義です。
●-荒木重雄先生(国際医療技術研究所 理事長)の講義
不妊治療を受けている人々に、正しい情報を提供し、
適切な自律的決定をしていただくよう支援しなければなりません、
という荒木先生のお考えです。
つまり、私たち不妊カウンセラーは常に最新の正しい知識を学ぶべきです
と言われます。そのため荒木先生は最新の国際雑誌、国際学会での論文を解説し、
世界の最先端の情報と、重要ポインを教えて下さるのです。
今回は、今年7月にフィンランドのヨーロッパ生殖医学会で発表された論文を
選んでQ&A形式で解りやすく詳しく教えていただきました。
一部紹介します。
Q:妊娠中の母体の肥満は出生児に影響をあてますか?
A:生殖年齢の女性は過体重を予防することは重要で、
適切な体重を維持することで、出産した赤ちゃんの将来の心血疾患、
癌、2型糖尿病のリスクを抑制できます。
(文献番号 r012301)
Q:全ての胚を凍結するメリットはなんですか?
A:前胚凍結戦略を採用し 凍結融解胚移植を行うことによって、
新鮮胚移植より
良好な結果が得られた。
(文献番号 r05100)
Q:AMHレベルから継続妊娠あるいは生児出産率を予想できますか?
A: ・40歳〜41歳未満
・一般的な卵巣刺激において採卵数が3個以下である人、
・ AMHレベルが0.12〜1.3ng/mL
以上の3つの基準のうち2つが当てはまる人において
AMHレベルと胞状卵胞数は採卵数と相関したが、
継続妊娠率あるいは生児出産率との相関は認められなかった。
(文献番号 r02200)
Q:低卵巣反応の患者に男性ホルモンで前処置することで卵巣の反応性を改善できますか?
A:経皮的テストステロンを1日10〜12.5mg、15〜21日使用するか、
1日40mgを48日間経口投与したところ、臨床的妊娠率は有意に上昇し、
そのうち相対リスクは2.44、生児出産率も優位に上昇し、
その相対リスクは2.12という結果であった。
(文献番号 r02200)
Q:卵子の中にミトコンドリアを注入することによって卵子を活性化することができるか?
A:ミトコンドリアを卵祖細胞や他の細胞から抽出し、
ごく少量のミトコンドリアを卵子の中に注入することによって、
卵子のエネルギー産出を促し、その能力をたかめることが
出来ると考えられている。
(文献番号 r14200)
Q:杯移植を行う際に、どのように良好胚を選別するのですか?
A:胚の選別法として経験に富んだエンブリオロジストが、形態をもとに評価する方法が
現在のところ最前な方法となっている。
胚のスコアリング法やコンピューター画像解析法も試みられているが、
それらが従来の選別法よりすぐれているという根拠は示されていない。
タイムプライズ画像による胚の選別は臨床成績の改善をもたらさないと述べられている。
(文献番号 r02100)
●荒木 重雄 先生
役職:日本生殖医療研究協会 会長 http://www.imtcollege.org/
現職:国際医療技術研究所IMT College 理事長
著書:「不妊治療ガイダンス」「体外受精ガイダンス」
参考:https://www.dtod.ne.jp/dsway/16
ほんの少しご紹介いたしました。
世界の最先端の情報を教えていただき大変有意義な
次回の続きが楽しみです。