中国漢方による周期調節法
掲載日:2009.10.14
★周期調節法の特徴は
1)月経周期に合わせて漢方薬を飲むことで自分のホルモンのバランスが整います。
2)ホルモンの分泌力が良くなるので、質の良い卵胞となります。
3)病院の不妊治療を妨げるのではなく、治療をサポートするやり方なので治療効果も上がることが多い。
4)排卵誘発剤などの副作用として,頚管粘液が少なくなるとか、子宮内膜が薄くなるとかを周期調節法の漢方薬でカバーしてくれることができます。
5)周期調節法で漢方薬を服用することは身体全体の調子が良くなるので、不妊だけでなく、冷え症、疲れ、貧血などの改善にも役立ちます。
★周期調節法とは
西洋医学からみた月経のメカニズムに、中医学(中国医学)の基礎理論を重ね合わせた不妊症への対処法です。
月経の周期(月経期・卵胞期・排卵期・黄体期)に合わせて漢方薬を変えて用い、本来自分の持っている妊娠する力を引き出す方法なのです。周期に合わせた漢方薬を飲むことは一つひとつの周期の役割がきちんとなり、乱れていた月経や排卵が整ってくるので妊娠しやすい体に近づくのです。
★★月経が起こるメカニズムは
脳の視床下部→脳下垂体→卵巣→子宮という一連のホルモンの流れがあります。この上から下への縦のラインのホルモン分泌を「精腺軸」「腎精」「腎気」「生命のエネルギー」と考えます。(下図)
この様々なホルモン分泌を受けて女性の月経周期は、生理期>卵胞成熟期>排卵期>黄体形成期と変化します。(下図)
この月経周期に合わせて中国医学理論にのっとって漢方薬で調整するのが周期調節法なのです。中医学は排卵前(低温期)を「陰」、排卵後(高温期)を「陽」とし、排卵期を境に低温期卵胞ホルモンから高温期黄体ホルモンへ移行することを「陰陽転化」とします。基礎体温のグラフに合わせて中国医学の陰陽理論を当てはめました(下図)
生理期、卵胞期、排卵期、黄体期、のホルモン変化に合わせて、漢方薬でそれらのホルモンを整える、支えるという方法です。ホルモン剤を使わなくて自分のホルモンバランスを整えるという方法です。個人個人の体調や状態に合わせて漢方薬を使います。ですので体調がとても良くなり妊娠する力が上がるのです。根本は自分の体の妊娠力ですから。
★周期ごとの目的
*{月経期}
不要になった子宮内膜をきれいに排出する時期です。着床環境を、良くするためこの時期月経血を完全に排出することです。剥がれた内膜が排泄されずに体内に残ると「お血」となり、次の卵胞発育にも悪い影響を与えてしまいます。
この時期:気血のめぐりを良くする「理気活血」の漢方薬を使います。
*{卵胞期}
卵巣の中で卵胞が発育していく時期です。子宮内膜も新しい粘膜層を再生していきます。これらは卵胞から分泌される卵胞ホルモンの作用によります。漢方薬はこの卵胞ホルモンを支えるのです。
この時期:「血」と「腎精」を補う漢方薬を使います。
*{排卵期}
卵巣内の成熟卵胞から卵が 飛び出して卵管へ移動します。卵が飛び出した後の卵胞は黄体を作り、低温期(卵胞期)から高温期(黄体期)へと移行。この時期は気血の働きを良くして排卵がスムーズに行われるようにしなければなりません。
この時期:「活血薬」と「理気薬」で気と血のめぐりを良くして排卵を速やかに行われるようにします。
*{黄体期}
受精卵が着床し養育できる整える時期。黄体ホルモンの作用により、子宮内膜は血液や栄養素に富んだふかふかの状態、受精卵を育てるベッドとなります。妊娠しない時にははがれて月経となるのです。
この時期:子宮内膜が温かくふかふかをたもてるよう、漢方薬は気血を補いながら「補腎陽薬」を使います。
このように卵胞ホルモンや黄体ホルモンなどホルモンを司るのは「腎」ととらえます。生殖を司るのは「腎」。その「腎精」の働きを中国医学はとても重要に考えます。周期調節法もまず、この「腎」の強化を中心に考えます。そのために「補腎」「補精血薬」は大切な漢方薬です。まず腎を元気にして生殖機能を高め、ホルモンの分泌を元気な卵巣、良い卵胞、良い子宮内膜と繋げていきたいからです。
周期に合わせて漢方薬で自分のホルモンバランスを整えることは、女性が本来備わった妊娠する力を強化することになります。自然妊娠力はもちろんですが、西洋医学による不妊治療を助けることになり多くの方に喜ばれています