春
掲載日:2009.09.01
春になると「妊娠しました」のご報告が増えてきます。自然界のもろもろが芽吹くときには人間も同じく命を宿す力も大きくなるのですね。先月2月26日の各新聞で報道された「49歳女性体外受精出産、自分の卵子では、国内最高齢か」とい記事には不妊症にたずさわる私たちにはとても元気つけられるニュースでした。
札幌市の49歳の女性が体外受精にて妊娠、昨年(2008年)11月に女児出産されたのですが、その女性が不妊治療をしたのは札幌市の「神谷レディースクリニック」です。私はこのニュースが発表される10日ぐらい前、東京の勉強会でその神谷レデイースクリニックの培養士さんのお一人と一緒に受講してまして、神谷レディースクリニックの高度生殖医療のレベルの高さなどを伺っていました。だから「さすがだわ」と感激したんです。出産された49歳の女性は30回以上の顕微授精をされていたとのこと。今回の妊娠は48歳6カ月もの時の採卵した卵子だったとのことです。神谷理事長のお話では「40代は卵子の老化が進みがち。でもこの女性は卵巣の年齢が若く、卵子の活動が活発だったから成功した」というような事をお話されてました。 (朝日新聞、スポーツ報知、南日本新聞 より)
中国医学でも不妊症を考える時には 一番重要視するのはやはり「卵巣の力」です。卵巣の資源を大切に考えます。中国医学では、卵巣を含めた生殖器やホルモン系を「腎」ととらえます。西洋医学でいう視床下部や脳下垂体や卵巣や子宮といった一連の性腺軸のことを「腎」というのです。中医学では不妊症を主にこの性腺軸の働きが低下した「腎虚」の状態と考えます。だから卵巣力を増すためには「腎」の働きを元気にする「補腎」という漢方薬を使って、ホルモン分泌を良くしたり、排卵をスムーズにしたりするのです。
◎「補腎薬」の目的
*ホルモン分泌を良くし自分の本来の性腺軸を整え妊娠する力を高めます。
*アンチエイジング、つまり老化を防ぎ若々しい機能を保ちます。
*免疫力をつけ、病気になるのを予防します。
◎「補腎薬」で卵巣元気。
卵巣の中は卵巣皮質に原始卵がぎっしり詰まってます。中心は卵巣髄質でそこにはたくさんの血管やリンパ管や神経があります。その卵巣を早く老化させないためにはまず身体全体がいい状態でなくてはなりません。自分自身の「気血水」のバランスが正常であることが大切です。また、卵巣の血流代謝も大事です。そのうえで「補腎薬」を使って視床下部、脳下垂体、卵巣 子宮という一連の性腺軸を整えて 卵巣が元気に働くようにするのです。
◎「補腎」のための食養生
日本では「精をつける」と言われますが、これは精力だけでなく体力や気力を増し、精神の疲労にもいいし、免疫力もつけるものです。中医学では「腎は生まれつきの元気の素、脾は生まれてから元気をつける素」と言われ「腎」と「脾」の両方の働きを高めることが「精をつける」「アンチエイジング」です。そういう食材は、ウナギ、どじょう、すっぽん、山いも、にら、おくら 玉ねぎ、にんにく、くこの実。スタミナ食といわれるものばかりです。